「五十肩」の語源は、江戸時代の俚諺集覧(俗語が諺を取り上げている書物)から来ています。40〜50代で特にきっかけなく痛くなる病気を昔から「五十肩」と呼んでいました。
現在では「肩関節周囲炎」と呼んでおり、関節を取り囲む組織に炎症を起こし、それによる痛みと関節の拘縮を引き起こしている病気と考えられています。30代でも80代の人にも起こり得ます。
糖尿病や、甲状腺機能低下症を合併している場合、発症しやすいと言われています。
五十肩と似たような症状を引き起こす、「腱板断裂」や「石灰沈着性腱炎」という病気もあります。治療方法が異なるため、肩の痛みを「五十肩」と自己判断せず、整形外科を受診することが治療の第一歩になります。
肩の動作時(挙上時)の痛み、夜・就寝時の安静時痛などがあります。痛みそのものは時間経過とともに徐々に改善していきますが、肩の動きは改善しないといった症状があります。
診察所見がもっとも大切ですが、腱板断裂も否定できない場合は、MRI検査を行う必要があります。
①保存療法
消炎鎮痛剤の内服や、炎症を抑える注射、またはリハビリ(温熱療法・電気治療での痛みの緩和、癒着防止や肩の動きの運動療法)で、症状の改善を図ります。
②手術療法
上記の治療を長期的に行って、改善が全く認められない場合は、関節鏡視下に癒着を剥ぐような手術を行うこともあります。