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脊髄脊椎について

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脊椎脊髄病外科

当院は下記の条件を満たし、日本脊椎脊髄病学会の基幹研修施設に認定されています。

福岡県内の脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設は大学病院を主とした公的病院のみでしたが、福岡市内民間病院としては当院が初めての脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設となります。

  • 脊椎脊髄手術が 3 年間連続して 100 例/年以上であること。
  • 教育研修指導医である日本脊椎脊髄外科指導医が常勤していること。
  • 日本整形外科学会あるいは日本脳神経外科学会認定研修施設であること。
  • 施設に所属する医師が筆頭演者として日本脊椎脊髄病学会あるいは日本脊髄外科学会の学術集会に 3 年間で 1 回以上発表あるいは講演していること。

当院は下記の条件を満たし、椎間板酵素注入療法(BKP)実施可能施設に認定されています。

医師要件

  • 日本脊髄外科学会指導医もしくは認定医
  • 椎間板穿刺経験がある、もしくは腰椎椎間板ヘルニア手術 50 例以上の経験がある医師

施設要件

  • X 線透視設備(C-アームなど)があり清潔操作のもと本剤を投与可能な施設
  • ショック・アナフィラキシーに対応可能な施設
  • 緊急時に脊椎手術ができる、または脊椎手術ができる施設と連携している施設
  • 入院設備がある施設

脊椎脊髄病外科

多くの方が、腰痛や首の痛み、上肢痛、下肢痛などを経験した事があると思います。
人間には本来“自然治癒力”がありますので、ほとんどの痛みは一過性で、時間がお薬となって徐々に軽減していきます。

しかしながら、痛みがとても強く日常生活に支障を来す場合や、なかなか痛みが改善せず長引く場合もあります。

医療機関では、問診や診察、画像検査、血液検査などを参考に痛みの原因を診断していきます。そして、痛みの軽減に向けた治療をおこないます。外来でおこなう痛みの緩和治療を述べます。

◎ 薬物治療(消炎鎮痛剤、ガバペンチン、オピオイド系鎮痛剤、ステロイド、血流改善薬、外用薬など)
◎ リハビリ治療(AKA治療、運動療法、温熱療法、関節可動訓練、牽引療法など)
◎神経ブロック治療
◎日常生活の姿勢指導、運動療法の指導など

ブロック治療

頸椎椎間板ヘルニアによる上肢への放散痛や、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症などによる坐骨神経痛に対して、MRI検査などで責任部位を診断します。その後、原因となっている神経に対する神経ブロック治療は特に即効性があり有効な方法です。疼痛を起こしている神経周囲に局所麻酔剤(+ステロイド)を注射する治療法です。整形外科・ペインクリニックなどで広く行われている治療法です。

麻酔剤の効果は通常1~2時間程度ですが、局所循環の改善疼痛悪循環経路の遮断などによって、痛みが長期に渡り緩和される事が知られています。ブロック治療と一言でいっても様々な方法があります。

○ 選択的神経根ブロック
○ 椎間板ブロック
○ 椎間関節ブロック
○ 頸椎、腰椎硬膜外ブロック
○ 仙骨裂孔ブロック
○ 星状神経節ブロック

  • 頸椎神経根ブロックはペイン専門ドクターが外来で透視もしくは超音波エコーを使用し、安全に行っています。
  • 頸椎・腰椎硬膜外ブロック、星状神経節ブロックはペイン専門ドクターが外来でおこなっています。透視やエコーを使用しより安全におこなっています。
  • ※頸椎硬膜外ブロック、選択的神経根ブロック、椎間板ブロック、椎間関節ブロックはレントゲン透視(イメージ)下に行われます。

上記の保存療法(薬物療法 神経ブロック治療 リハビリ治療)でもなかなか改善しない長期の痛み、日常生活に支障をきたす強い痛み、筋力低下などの運動麻痺、神経から発生する腫瘍などは手術治療が必要になります。
脊椎・脊髄を扱う手術は、整形外科医が扱う手術の中で、最も難易度が高いものです。

私たちは多くの脊椎・脊髄手術を手がけてきました。患者様には保存療法、手術療法の選択の際、じっくり時間を掛けてご説明します。納得していただいた上で、最善の治療を進めて参ります。

当院では脊椎・脊髄手術は2004年からLeica社製手術用顕微鏡(左図参照)で行っています。手術用顕微鏡では明るく拡大された三次元的視野が得られるため、繊細さが必要とされる脊椎脊髄手術であっても安全に手術が出来るのが特徴です。

手術用器械も顕微鏡・内視鏡用の開窓器・器具などを使用し、筋肉・骨組織・神経組織に対して低侵襲手術をおこなっています(棘突起縦割椎弓拡大術・skip laminotomy・顕微鏡下外側開窓術など)。

患者様の不安の一つとしての手術後の痛みがあります。手術後の疼痛管理にも工夫を行い(術中硬膜外ブロック)、術後の疼痛を極力減らしています。その結果、術翌日からの早期リハビリテーションが可能となっています。脊椎・脊髄術後の患者様の95%は、術翌日から独歩もしくは歩行器での歩行が可能です。

またほとんどの患者様は、術後2週間で退院・日常生活への復帰が可能です。(術後1週間でも退院は可能ですが、術後感染の早期発見のため、術後2週間の入院を推奨しています)

近年は高齢者の腰部脊柱管狭窄症の手術が大幅に増加しています。70歳~80歳代、場合によっては90歳代の患者様が増えています。ほとんどの手術後の患者様が、軟性(ダーメン)コルセットで、手術翌日から歩けます。そのため、術後の筋力低下、認知症などの合併症がほとんどありません。

当院は福岡市内でも有数の脊椎・脊髄手術症例数(年間250~300例)を誇っています。
整形外科開業医・一般病院・脊椎外科が無い総合病院からの紹介患者様が多くなっています。 脊椎・脊髄手術は同一疾患でも、施設によって手術方法が随分違います。

手術の術式

手術術式は大きく分けて除圧術固定術の2つの方法となります。
当院の特徴として、術後の不安定性の原因となる脊椎後方支持組織の椎間関節を、顕微鏡手術よって極力温存する低侵襲手術をおこなっています。その結果、除圧術の治療成績を向上させることが可能です。腰椎椎間板ヘルニア、外側ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症においては、固定術を選択することはまずありません。一方、腰椎変性すべり症で高度の不安定性を伴う症例、椎間板性腰痛(腰椎椎間板障害)腰椎分離すべり症、頸椎椎間板ヘルニア(中心性)、胸腰椎部の圧迫骨折後の遅発性麻痺症例などには固定術を施行します。すべり症などでの術後の再狭窄での再手術も多くの場合、固定術が必要となります。

※固定術を行う際も神経除圧操作時は顕微鏡を使用し安全性を高めています。椎弓根スクリュー挿入時にはガイドピンを使用し2方向イメージで確認しています。スクリューによる神経の損傷の危険性を防いでいます。
当院では、過去5年間の固定術の割合は全脊椎症例の5~15パーセントとなっています。他の脊椎専門施設に比べて非常に低率であることが特徴です。

除圧術の特徴
  • ・筋肉剥離、骨切除量も少なく本来の椎間の動きが温存される。
  • ・隣接椎間での障害は長期的に少ない。
  • ・手術時間・出血量の軽減、感染を含めた合併症の頻度が少ない。
  • ・固定術に比べ、重篤な合併症が少ない。
  • ・将来の不安定性(すべり)増大による再狭窄の可能性。
  • ・すべり症で除圧後、椎間孔狭窄症状が出現する事がある。
  • ・椎間板性腰痛・不安定性腰痛遺残。
  • ※当院では、椎間関節を極力温存し不安定性の増大の危険性を減らしています。
固定術の特徴性
  • ・骨癒合すれば不安定性は解消されすべりの進行は無い(絶対的安定)
  • ・椎間板性腰痛や不安定性腰痛の改善
  • ・骨癒合しない場合、インプラントの破損や体内迷入などの危険性
  • ・術後感染が起こった場合、長期化・重篤化
  • ・手術時間延長や術中出血量などの増大 周術期の合併症の増加
  • ・術後数年経過での固定椎間の隣接椎間障害(狭窄、ヘルニア、すべり)の可能性、椎体骨折(特に高齢者)など

このように除圧術・固定術にはそれぞれ長所、短所があります。
高齢者の変性すべり症、変性側弯症などに除圧術・固定手術どちらを選択すべきかは脊椎・脊髄専門病院間でも大いに議論がなされ、結論が出ていないのが現状です。
手術自体の適応、手術方法(除圧術・固定術)など、疑問点があれば遠慮なくご質問ください。
また他院へのセカンドオピニオンなども、ご遠慮なくご要望ください。
手術はご本人にとって、生涯における一大イベントです。最良の選択を充分な時間をかけて検討していただきたいと思います。

当院では、手術方法や臨床結果などを、全国規模の脊椎・脊髄専門学会、地方会で、年間5回以上の発表をおこない論文などを提出しています(研修活動参照)。このような発表の場で、他の施設(病院)と活発な議論をおこなっています。
そして、手術技量を常に向上させ最善の治療を目指しています。(文責 整形外科部長 藤原 将巳)

整形外科 手術件数

  平成
28年度
平成
29年度
平成
30年度
令和
元年度
令和
2年度
令和
3年度
腰椎 256 287 233 268 254 276
頸椎 28 26 29 31 26 29
外傷 大腿骨頚部骨折
(内側・外側含む)
30 23 45 29 28 25
骨折・脱臼 94 111 105 148 106 90
その他 12 42 76 7 6 59
関節外科 人工関節置換術 61 60 56 85 29 37
関節形成術
(骨切り等)
15 7 14 9 6 8
関節鏡視下手術 102 84 75 29 95 50
その他 0 0 0 0 0 0
骨・軟部腫瘍 15 22 22 13 16 10
神経・骨軟部組織 16 22 35 17 34 16
その他 58 37 41 48 79 38
合計 687 721 731 684 679 638

【九州医事新報社 2018年2月】
 PDFファイル

【読売新聞2017年6月】
 PDFファイル

【読売新聞2014年1月】
 PDFファイル

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